WORKS
柔らかなワークスペース
築40年程の住宅用マンションの1室をオフィスへのコンバージョンする計画。住宅として長く使われていた室内は、生活や時間の痕跡が多く残っていた。改修するにあたりそれらを完全に消し去るのではなく、布や半透明の塗装などの薄い被膜で覆い抽象化する事で、無機質ではない浮遊感のある柔らかなワークスペースを作ることを意図した。
住宅からオフィスへのコンバージョン
住宅用マンションの一室を改修し、オフィスにコンバージョンしたいという依頼内容だった。マンションのリノベーションでは、通常、新しい仕上げで壁を覆う、もしくは既存の仕上げを取り払い、時間の経過を伴った既存の壁、天井などをインテリアとして見せる表現手法が多く見られる。 新しく仕上げを張ってしまうと、これまでの時間の痕跡を無視した新築と変わらない空間となってしまう。しかしながら、既存の壁、天井などをそのまま見せるのは、新しくこの空間を使用するデザイン事務所にとっては表現として少し強すぎると感じた。
過去と未来をつなぐリノベーション
間仕切り壁などは全て取り払い一室空間とした上で、コンクリート面に張られていた既存の クロスを剥ぎ、露出したコンクリート壁面に半透明の塗装や布などの薄い被膜をかけ、それ らを抽象化された表層として取り扱った。また部屋の中心に、執務スペースと打ち合わせス ペースとを仕切る大きな建具と布を設け、視線、空気、音などを使用状況によって柔軟に間仕切ることができる計画とした。過去と未来をつなぐリノベーションの新しい形を提案している。
視線、空気、音を間仕切る建具とカーテン
所在地:福岡県福岡市
用途:オフィス / 改築 (リノベーション)
規模:RC造
延床面積:54㎡
設計:竹田 真志 / raumus
施工:リヤン
クライアント : みずうみデザイン室
竣工:2023
写真:YASHIRO PHOTO OFFICE