設計事務所に設計を依頼する利点 | 建物・住宅を建てる際の設計事務所の役割とは何か

家やビルを建てる際に、設計を設計事務所へ依頼することを検討される方もいるでしょう。
一方、住宅メーカーや工務店、ゼネコンなどに設計・施工を一括で依頼するというケースもあります。

そういった場合は、設計事務所は介さずに直接施工者(工事会社)に依頼するため、設計費用が抑えられ安くなると考えられています。

では、設計事務所に設計を依頼する利点は何なのか? よく解らなという方もいると思います。
私自身は設計者ですので、当然ながら設計事務所に設計を頼むことをお勧めします。

設計事務所に設計を頼むことの大きなデメリットの一つは、建物が完成するまでの時間が少し長めにかかるということですが、長期的に考えた場合にはメリットが多いと思います。
設計事務所には建物を設計すること以外に色々と役割があります。その内容を下記の5点の項目に沿って説明していきたいと思います。

なお、設計事務所と一言に言っても色々なタイプの事務所があります。ここで書いている内容は、私個人の意見も入れながら、「あるべき」設計事務所像も含めて記載していますのでご了承ください。

住みたい家、建てたい建物のイメージを具現化する

設計事務所は、その名前の通り設計を生業としている職業ですので、当たり前ですが設計が上手です。真摯な設計事務所は、お施主さんが持っているイメージや要望に、出来る限り応えようとしてくれるはずです。

住宅メーカーや工務店、ゼネコンなども建築士を自社で抱えて設計まで請け負っている会社も多くありますが、どちらかというと全体における収益の割合は施工費(工事費)が多く、設計にかけられる予算が少ない場合が多いです。

そのため設計にかけられる時間は限られてしまい、また工事会社ですので、工事しやすいことを最優先に考え、お施主さんの要望をすべて汲み取って設計をするということができない可能性もあります。

また自社で効率良く作れるように仕様、材料、工法(作り方)などが決まっている場合が多く、それらの制約に縛られて自由設計とはいかない可能性もあります。
それに比べ、設計事務所は設計が専門ですので、納得するまでお施主さんの希望を叶えてくれるようなプランを考えてくれるはずです。

専門知識の翻訳者としての役割

建築は非常に多くの専門領域に分かれており、建物を作るためには多くの複雑な知識や技術を用いらなければなりません。建設業法の建設工事業種区分によると、大工工事、屋根工事、電気工事など計29種類の工事に分かれています。

設計事務所はメーカーや工事会社と打ち合わせをしながら、建物のイメージに合う材料、工法、設備などをコストを考慮しながら決定をしていきます。お施主さんは建築の専門家ではない場合が多いため、これらの複雑なことはわからない場合が多いです。

そのため設計事務所は、どのような経緯で材料や工法を選んだかを分かり易く説明したり、特には比較資料や、完成イメージを作成し、それらの決定に納得をして頂くという業務があります。発注者(施主側)と受注者(施工者)の間で、受注者側だけが多くの情報を持っている「情報の非対称性」が起きやすいため、設計事務所がそれを補完し、施主側が損をしないようにサポートする役割も担っています。

住みたい家のイメージを3Dや模型にして具現化して示してくれるのは設計事務所ならでは | ポツダムの住宅

建築コストのチェック機関としての役割

了承の上決定した事項は、設計図に書き入れられ、最終的には施工者側から見積もりを取ります。私自身の経験では最初に取った見積もりは、多くの場合予算よりオーバーしている場合が多く、この段階から見積もりの査定を行います。

材料、設備の単価、工事の人区、施工方法の妥当性をチェックし、またコストカットできる箇所がないかを検討します。大体この作業を行うと、工事費の数10%は下がることが多いため、設計者の腕の見せどころです。

住宅メーカーや工務店に依頼をすると、設計・施工が一体となるため、この部分でチェックがうまく働かず、コストがあまり下がらない場合があるというデメリットがあります。

工事の監督者として

コストについての合意ができ、契約ができると工事が始まります。設計事務所は設計が終わり工事が始まると、今度は工事監理者として工事が設計図通り行われているか、適正に行われているかどうかを指導・監督をします。

週1回から月に数回程度現場に行き、現場監督や職人と打ち合わせをし、工事が問題なく行われているかを確認し、工事の進捗や問題の有無など、工事についてお施主さんに報告をします。

設計・施工一貫(デザイン・ビルド)方式の弊害

日本の建設業では、昔から「旦那と出入りの職人」の関係に通じる発注者(施主)と受注者(大工)の主従関係があった為、その受注者が発注者の不利益になるようなことをするはずがないという信頼関係のもと、大工が設計から施工まで一貫して行う設計施工一貫というシステムが認められてきました。設計・施工一貫(デザイン・ビルド)方式は、設計段階から工事のことを目考えながら工期を短縮できる可能性があるという利点はありながらも、同時に弊害もあるように思います。

前述のように発注者と受注者側には「情報の非対称」があるために、受注者側(工務店)はやろうと思えばいくらでも不正をすることができます。このような問題から、建築家というシステムが昔からあったヨーロッパの国々では、基本的に設計・施工を同じ会社が行うことを認めないケースが多いです。

もちろん信用できる施工業者であれば問題ないという考え方もできます。
設計事務所に依頼すると設計料の分費用が多くかかりますが、結果的に費用が安く抑えられた上に、品質も向上し、長期的に考えた時に満足するものができると考えています。住宅・建物の設計依頼先を検討する場合には、それらのことも十分考慮の上、信頼のおける方へ相談をすることをお勧めします。

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