1. 持続可能なまちとは
「人口減少社会のデザイン」(広井良典 2019) に、人口が減少していき来たるべく成熟社会に向けて、2つの重要な提案が示されています。
・都市集中型(東京)か地方分散型かを選択する
・ヨーロッパの都市のように歩いて楽しめる公共空間をつくる
著者は、地域内の経済循環が十分にうまく行くかという問題はあるが、地方分散型の方が持続可能性の観点からは望ましいという結論としています。
また、著書の中では楽しめる公共空間の例としてドイツのシュトゥットガルトのまちの事例が紹介されていました。ドイツに限らずヨーロッパの都市は、ロンドンやパリ、ベルリンを除き5-10万に程度の小さな町が多く、それらの都市の中心部の多くは歩車分離され、歩行者が安全にいてショッピングなどを楽しめるようになっています。
多くは旧市街地と呼ばれる場所で、戦前からまちの中心地であった場所であることが多く、教会や個性的な建物も多く歩いているだけでも楽しめます。
2. 歩いて楽しめる公共空間
日本にも勿論、歴史的な建物が残る地区など街並みを生かし成功している事例も多くあります。しかしながら地方の多くの街では、中心地や商店街からロードサイドやショッピングモールなどに賑わいの場所が移っている地域が多いと思います。
また、バブル期に山を切り開いたり、畑を造成して作られた新興住宅地では、その住宅地で育った子供たちは大くなったら外のまちに出て行ってしまい、住民の高齢化とともに人口が減少しています。周辺地域からの交通の便などの問題もあると思いますが、郊外の住宅地は車を中心にした設計となっているため、歩行者が楽しめるような魅力的な空間となっていないことも人口減少の原因になっていると思います。
今後、人口が減少していき人が住む場所の取捨選択が行われていく中で、歩いて楽しめる公共空間がまちに賑わいを取り戻し、持続可能な魅力的な街をもう一度作るには必要不可欠ではないでしょうか。
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